こんにちは。
今日は楽な動きと動き易い動きは違うかもねというお話です。このお話は、慢性的な肩腰膝の痛みだけでなく、日常の学校や社会でのストレスにも関わるお話しになると思います。
今日の結論でいうと、「楽な動き」は自分を殻に閉じ込める方向へ働きやすく、「動きやすい動き」は自分の動きを洗練させ成長していく方向に働きやすいというようなお話しです。
その先もあるのですが、そこは一旦触れずに、まずはここをお話しさせてください。
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整体をしていて、ご自分の身体の動き易いかどうか?がわからないという方が増えているように感じています。例えば、立ち易いかどうか?や、階段昇るのと降りるのとどちらがし易いか、施術前後の身体の変化もわかりにくいとかなんですが、そうした自分の身体感覚が鈍っている方が年々増えているような印象です。
やりとりの一部を例にあげるとこんな感じです。
「どんな動きで腰に痛みが出ますか?」
→「何をしていてもほとんど痛いです。差はわかりません。」
「この動きとこの動き、どちらが動きにくいですか?」
→「よくわかりません。どちらも同じように感じます。」
「立った状態で、今踵よりに体重が乗っているのはわかりますか?」
→「わかりません。」
みたいな感じです。
言い方が良くはありませんが、例えるなら、症状があることは気になるけれど、そこにしか関心がなく、自分の身体が普段どんな動きをしているかにはあまり関心がないというような感じです。
身体を動かし易いかどうかもそうですが、広い意味で言えば、運動したほうがいいか、今自分がなにを食べたいのか、なにが好きでなにが嫌いなのか、自分の好みなんかも案外よくわからなくなっている方も増えている印象です。
たしかに微細な変化を感じ取るのは難しいですが、日々の生活の中でちょっとした動き易さに目を向けてみると、慢性的な膝腰の痛みを解消するヒントにもなるし、ケガ予防や、医療機関との関わり方にも大きく影響すると思われます。
楽と、動きやすさの違い
例えば、「上下ゆったりとした着心地のジャージ」と、「着物」では、どちらが楽ですか?
当然ジャージの方が楽ですよね。
でも、椅子に座る、椅子から立つという動作では、「着物」の方が動きやすく感じられる方が多いと思います。一見窮屈で動き易い状態である着物の方が、動作するときに動きにくさを感じそうなものですが、実際やってみると、何の制限もないジャージの方が普段の痛みが出ることが多いです。
これはジャージがダメで、着物が良いという話ではないので、そこはご理解いただきたいですが、現代では比較的窮屈な着心地の服装よりも、シルエットも素材も着心地に違和感なく作られたものが多いですね。
ちなみにですけど、靴も安価な靴ほど柔らかい?新品の瞬間から違和感なく履けるものが多い印象があります。なので、最低でも、靴はヒール(踵)やソール(底)にある程度硬さがあるものを選ぶ方がいいです。その2つがフニャフニャの靴なんかは要注意。
そういう時代なので、着物の窮屈さが適度に自分の癖を消してくれることで、痛みが変化するのでは?と考えています。
実際、患者様で変形性膝関節症の痛みで悩まれていた方が、着物を着る機会に歩くと不思議と膝の痛みをあまり感じなかったという方もおられますが、こういった身体を取り巻く環境(靴や靴下、服装、歩く場所など)に適応しようと身体は変化してます。
歩く場所も、アスファルトよりも、案外砂利道の方が膝の痛みが軽減するという方も結構おられて、僕の母親は結構強い変形性膝関節症ですが、平で歩き易い道よりも、砂利道や、田んぼの畦道なんかの方が楽で、出来る範囲でそういう道を選んで散歩しているそうです。(田舎なので)
平らなアスファルトの方が転倒リスクは減るので、どちらが身体に良いとははっきり区別することは出来ませんが、そういう日々の気づきは慢性痛改善のポイントだと思っています。
ちょっとした窮屈さが大切?
慢性的な痛みの原因は、日々の身体の動き方にあるとは言われますが…
日々の動き方が固定されやすい原因は?と考えていくと、日常の生活習慣・生活リズム・物事の考える価値観なども広い意味では含まれてて、先ほどお話したことも同じですが、ちょっとした窮屈さが身体で言えば、普段使うことの少ない筋肉を刺激してくれたり、普段使わない思考回路を活性化してくれたりすることもあります。
そうした刺激が自分の価値観や、脳や身体の動き方を変化させてくれると思うと、安易に「楽」なだけを求めていくよりも、やり慣れないことをしたり、ちょっと苦手な環境に身を置いてみるなんてことも、楽ではありませんが、自分を広げてくれている刺激とも言えるかもしれません。
自分の身体を感じてみること
話がちょっとそれましたが、まずは日々の生活環境の中で自分の身体感覚を感じてみようというのが大切です。
日常の身の回りの環境に少し変化をつけてみると自分の感覚はわかりやすいです。
例えば、デスクワークで腰痛や肩こりに悩む方であれば、デスクの高さ、パソコンの高さや距離、ディスプレイの文字の大きさや照度、椅子の高さ、背もたれの分厚さ、などなどを色々変化させてみて、肩こりがどう変化するか?を感じてみる。
膝腰の痛みの方であれば、靴などの履き物、室内スリッパ、着る服装、歩く場所、椅子の種類を変化させてみるなど、ちょっとした環境の変化の中で自分の身体がどう変化するか?に意識を向けてあげて、自分の身体の変化を感じてみるのがおすすめです。
「環境を変化させることで、慢性痛が改善する」ということではありませんが、その環境変化が身体感覚を刺激して、動き易い動きとは?を思い出すきっかけになります。
案外、ご自身がしんどい環境下であることに気が付かずに、しんどい動きをわざわざしてしまっていることに慢性痛の原因があることも意外と多いので、ここがとても大切なポイントなんです。
なんで、そんな細かいことをいちいち感じ取れないといけないのか?と思われる方もいると思いますし、敏感に感じてしまう方しんどいし鈍い方が楽では?いう方もおられるかもしれませんが、身体を感じるというのは、言い換えれば身体のセンサーのスイッチをONにしておくようなものです。
例えば、皆さんが普段乗っている車にも色んなセンサーがついてますよね?
スピードメーターや、エンジン回転数のメーター、水温計、燃料メーターとか、それ以外にもたくさんありますが、これらのセンサーが正常に働いてくれてるから、「ガソリンなくなってきたな」というのもわかるし、「スピード出し過ぎだから抑えないとな」というふうに反応できますね。
もし、それらセンサーがなければ、今どれくらいスピードが出ているか、残油量はどれくらいか?もわかりにくい。気がつけばガス欠なんてこともあるかもしれません。
身体も同じで、今身体がどういう状態にあるか?を感じ取れるに越したことはないわけです。
とはいえ、なかなか難しいと感じる方も少なくないので、ちょっとした感じるコツとしては、日常使っているもの・環境に変化をつけてみるというのが良くて、普段と同じものを履いて、同じ場所で動くだけではわかりにくいと思いますが、少し変えてみると感じ取り易いです。
はじめは少しわかりにくいかもしれませんが、なんとなく全身的にでも良いので、動き易いかどうか?を感じてみてもらえると、病院や整体にかかった際に施術を受けた後の変化も感じ取り易くなるので、施術の効果は高まります。
ご自宅で体操やヨガなどのセルフケアをする際にも、どんな体操をするか?ということも大切ではありますが、それと同じくらいに、そのケアをしてどんな変化があった?を体感覚として感じ取れることも大切です。そうすると、情報だけで判断するのでなく、感覚を通して自分にとっての良し悪しが判断がつきやすいですね。
ぜひ、日々のご自身の身体を感じてみてください。
今日は以上です。
音声バージョンもあるので、よければそちらも併せて聞いてみてください↓
それではお達者で!!