こんにちは!
整体庵大空です。
今日は、妊娠中と産後の方、これから妊娠を考えている方にも知っておいてほしい、骨盤ベルトのお話です。
結論をお話しすると、
基本的に、『骨盤ベルトを巻かない方が骨盤や身体の状態は良い』です。
あくまで、このお話は、ベルト業者がベルトを売るためのものであったり、整体屋が整体に来てほしいからベルトを否定するようなものでもなく、
ベルトの間違った使い方で体の正常な機能を損なうことを防ぎ、
妊娠中〜産後の骨盤ベルトの正しい知識をお伝えするため
に書いていることを、ご理解ください。
骨盤ベルトは基本巻かない方がいい理由について、以下お話していきます。
僕は、過去に約6年間ほど毎日産婦人科で妊婦さん、産後の方の整体施術や運動指導をして来ました。
その経験の中で、「骨盤ベルト」のメリットとデメリットを、自分自身の失敗を通してたくさん学んできました。
その学びの内容を、まとめてみたいと思います。
ぜひ、快適な体を手に入れるヒントにしてもらえればと思います。
骨盤ベルトをしなくても動けるなら巻かない方がいい
妊娠中〜産後は必需品のごとく骨盤ベルトを買われたり、友人から頂いたりすることもあると思います。
骨盤ベルトをなぜ巻くのか?
利用する妊婦さんにアンケートを取ってみると、大多数が
- 骨盤が緩み過ぎないようにするため
- お尻が大きくなりたくないから
- 産後に早く骨盤を閉めたい
- 腰痛や骨盤痛があるから
- なんとなくベルトした方が良いって聞いたから
という5つの答えでした。
恐らく妊娠中の骨盤ベルトは、
もともと痛みを軽減させたり、
動きやすくするようにするために開発されたものであるはずなのですが、
雑誌やテレビの影響からか、
実際には、美容目的、産後の骨盤を締める目的、に使われることがほとんどのようです。
実際、産婦人科でも前もって骨盤ベルトを購入してくる方も大勢いました。
僕がいた産婦人科でも以前は、
腰や骨盤が痛い妊婦さんには骨盤ベルトを勧めていたのですが、
骨盤ベルトの弊害が実際のデータで確認できた後は、病院としても勧めていませんでした。
骨盤ベルトは一時しのぎ的な道具に過ぎず、
大切なことは体操などで身体の使い方を覚える中で骨盤を整えてあげることが大切だからです。
まず、知っておいてほしいことは、
妊娠中の骨盤ベルトの目的は、
腰や骨盤が痛いけどどうしても動かないといけない(仕事など)時の、
一時的な保護を目的としたものであり、
体が痛くても巻かなくて動ける程度なら骨盤ベルトは巻かない方が良い。
というのが僕の結論です。
(その方が後々良い身体になります)
なので、僕は今でも、妊娠中の方に骨盤ベルトを薦めることはありません。
100歩譲っても、「どうしても今日動かないといけない」という時くらいで、
できることであればそこまでして動かない方が良いと説明します。
特に、
アンケートで出たような美容目的や、骨盤を整えるといった効果は、
雑誌やテレビが、その商品を売りたいがために発信している内容であることが多いので、
注意が必要です。
なぜ、妊婦さんに骨盤ベルトは必要ないの?
それは今まで経験と研究の結果ではありますが、
そもそも僕自身も当初、
「妊婦さんと産後の骨盤にはベルト使えば良い」と思っていました。
実際、腰痛など抱える妊婦さんに骨盤ベルトを巻くと確かにその場では痛みも軽減するし、動けるようにはなります。
ベルトの効果を実感してもらえるので、なんとなく僕もそれで良いんだと勘違いしていました。
しかし、
それを2年ほど続けた後、
僕が骨盤ベルトを巻いた方が良いと指導した人が、
産後に体が痛いと来てくれたり、2人目さんを妊娠して整体に来てくれると、
驚くほど体の状態が悪いんです。
そこでさらに数ヶ月調べていくと、僕のいう通りに真面目に骨盤ベルトを巻いていた人ほど、身体が悪くなっていることがわかりました。
当時の患者さんは、申し訳ないことをしてしまったなと今も後悔しています。
妊娠中や骨盤ベルトを巻くことが、その場ではすごく効果的に感じるものの、巻き続けることによって返って体が悪くなることがわかってきました。
なぜ、妊娠中の骨盤ベルトがこのような悪影響をもたらしてしまったのか?
それをまとめてみますね。
妊娠中〜産後に骨盤ベルトを巻かない方がいい3つ理由
理由1 体のバランス機能が失われる
骨盤ベルトをされたことがある方はわかると思うのですが、骨盤ベルトを巻くと、閉められた安心感があり、なんだか身体が安定した様な感覚があります。
しかし、実際にバランステストを行ってみると、骨盤ベルトをしているときは、かなりバランス感覚が低下していることがわかります。
今もし骨盤ベルトをお持ちの方はぜひ実験を行ってみてほしいと思います。
方法は簡単です。
立って肩幅に足を開いて、パートナーに横から押してもらいます。
この時に踏んばって耐えてみてください。
今の感覚を覚えておきましょう。
次に骨盤ベルトを締めてもう一度パートナーに押してもらいます。
すると、いかがでしょうか?
骨盤ベルトを巻いた方がバランスは悪くなるはずです。
ベルトを巻くと心理的には安心感がありますが、(これがやっかいです)
実はそれは錯覚で、実際には体のバランス機能を低下させるということがこのことからわかります。
つまり、ベルトを巻いて歩いていると、
バランスが悪い状態で歩いていることになり、
体には返って悪いと言えます。
理由2 筋力が低下する
ベルト巻くと、
確かに安心感、安定感があります。
しかし、これは錯覚だということは先ほどお話しました。
ではこの安心感は何から来るのか?
それは、
骨盤ベルト、体幹の筋肉を補助してくれるからです。
「え?筋肉を補助してくれるのであれば、良いんじゃないの?」
そう思われるかもしれません。
しかし、本来筋力とは、強さそのものよりも、動作の中でタイミングよく筋力を発揮することが重要で、筋力の強さそのものは日常生活の中ではあまり重要ではないんですね。
なので、骨盤ベルトを締めると、安心したような感覚があるのは、体幹の筋力を補助してくれるからですが、実際、動作をしてみると、その筋力は発揮されず先ほどの実験のように、肝心な時に働いてくれない筋力なのです。
しかも、ベルトで補助されていれば、
体幹の筋力はいつもよりサボることができますから、
どんどん弱くなってしまいます。
これでは、良かれと思っていた骨盤ベルトで、
筋肉を弱らせて、お腹にたるみを作ったりもします。
理由3 骨盤ベルトに依存した身体になる
1と2の結果、妊娠中〜産後と骨盤ベルトを使って生活をしていると、
骨盤ベルトなければダメな体になります。
身体には、「適応性の原則」というものがあり、
その置かれた環境に順応するという原則です。
筋トレをすると、その負荷に耐えられるような体に順応するし、
標高の高い酸素の薄いところで生活していれば、
その酸素濃度に順応した体になっていきます。
これを同じことがベルトにも言えるのです。
骨盤ベルトがあって初めて成立する体ってかなりおかしいと思いませんか?
本来は、
どうしても動かなければいけない時の一時しのぎの道具として開発された骨盤ベルトなのに、
依存する対象にもなってしまいかねません。
ベルトで補助できる筋力は全てあなたの体にある筋力です。
自分は筋力ないからなんていう人も全然大丈夫なんです。
そんな人でも、座ったり、立ったりはできますよね?
それができていれば筋力は十分にあります。
大切なことはその筋肉をどう扱うかです。
妊婦さんにおすすめの「妊婦骨盤ヒモトレ」とは?
骨盤ベルトがよくないのであれば、
その代わりになるものってあるの?
と聞かれることがあるんですが、
基本的には巻く必要はないのですが、
あえて使うとすれば、僕のおすすめは、
「ヒモトレ」というものです。
これは筋力を補助するというものではなく、
もともと体にあるけど、普段使っていない身体感覚を呼び起こすきっかけになる道具になります。
方法は簡単で、
写真のようにヒモを一本お尻の下から恥骨に向けて巻くだけです。
軽く巻いてあげるだけで十分です。
この時のヒモは、伸縮性のない自宅にある梱包用のヒモなどを使ってみてください。
試しに巻いて片足立ちや足上げをしてみてください。
不思議とバランス感覚がよくなると思います。
これだけで、もともとある身体感覚を呼び起こすことができるのです。
ぜひ、妊娠中や寝返りが辛い方はお試しください。
妊娠中と産後の骨盤ベルトまとめ
妊娠中と産後に骨盤ベルトを巻く時の正しい使い方について、
お話してきました。
もう一度、そのメリットデメリットをまとめてみましょう。
ー骨盤ベルトのメリットー
- 痛みがあるが、どうしても外出しなければいけない時の補助具として使える(基本的には痛みが強ければ安静が良い)
ー骨盤ベルトのデメリットー
- バランス感覚が低下して体に歪みは発生する
- 筋力が低下しスタイルが崩れる
- 骨盤ベルトなどの道具でお尻が小さくなることはない
- 身体が弱る
ということになります。
こう見ると、デメリットの方が多くなりますね。
ですが、本来のベルトはこのように使い方を考えて使うべきもので、
骨盤を締めたいといった目的ではその効果がないのはもちろん、
長い目で見て体に悪影響のあることが多いので、
安易な使用は避けるべきだと僕は考えています。
悩む方は妊娠中でもみてくれる整体院に相談を
ベルト巻かないと身体が痛くて動き辛い方は、
適切な整体院で身体を整えたり、体操方法を指導してもらうことがオススメです。
特に妊娠中に通える整体院は多くはないですが、
信頼できる整体院を見つけておくのは、
妊娠中や産後に限らず、
何か困った時に相談する先としてもいいかなと思います。
「そんなところないよ」という方は、
遠方でも構いませんので一度ご連絡いただければアドバイスしますのでおっしゃってください。
今日は、以上です。
何かのお役に立てれば幸いです。